〒659-0095 兵庫県芦屋市東芦屋町3-9

芦屋のクラシック音楽コンサートホール
2021.12.26
コロナで明け暮れたこの一年、年末に第九の音も聞こえてこない冴えない一年だった。しかし昨日打ち上げられた次世代天体望遠鏡で135億年前の、ビッグ・バンの光が今見られる可能性が出てきたという科学ニュースに明るさを覚えた。そんな興奮の覚めやらぬ中、Salon Classic では今年最後のリサイタルがあった。チェリスト海野幹雄とピアニスト宮下朋樹のベートーヴェンチェロソナタ全曲演奏会だ。
わずかな休憩はあったが、第1番から第5番まで2時間半ほど弾き放し、そのすべてを海野は一切譜面見ずに暗譜で無念無想の表情で弾く。もちろん左手の指は細かく激しく上下し、右腕は大きく左右に動いている。その無念無想の後ろで一生懸命にピアノを弾く宮下、絶妙のコンビが生み出す音楽美に私は完全に圧倒された。二人とも気高い。第3番の出だしの音は今も耳に残っている。このような曲想を描くベートーヴェンの感性はどうなっているのだろう。天文学者の頭脳も分からないが、芸術家の感性も分からない。しかし昨日、今日はこれらの天才に心が打たれた。
コロナのせいで観客は多くなかったが、今回特筆したいのは一番前の席でおとなしく聞いていた三才の坊やだ。ママの横でどんな気持ちで聞いていたのだろうか。
21.12.26 ベートーヴェンチェロソナタ全曲演奏会
Salon Classic 芦屋市東芦屋町3-9
演奏者 海野幹雄(チェロ)&宮下朋樹(ピアノ)
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