芦屋のクラシック音楽コンサートホール

兵庫県芦屋市東芦屋町3-9
TEL:0797-55-0730

イベント情報

2017年06月

2017.06.21

西川伍平とその仲間たち

2017年6月23日 (金)

西川悟平の世界
昨日と今日(6/21、22)、Salon Classicでニューヨーク在住の西川悟平君のコンサートとトークショーがあった。
その演奏も勿論素晴らしかったが、それは今回は割愛して、トークの内容にふれることにする。
アメリカンドリームを果たした日本人、西川悟平
大阪の堺で和菓子屋の売り子をしていた24歳の青年が、ある日、ニューヨークカーネギー大ホールの3200名の聴衆の前でピアノの独演会を開いて大喝采を浴びた。そうかと思うと、300年前、ジョージ・ワシントンが住んだというニューヨーク市長公邸に招かれて演説と演奏、それが日本に伝わると、今度は日本武道館で一万5000人の前で演奏、今秋はあの世界的富豪のロスチャイルド家の主催でロンドンデビュー、当日はイギリスのロイヤルファミリーも出席されるという。また2020年のオリンピック、パランピックの開会式でピアノを弾く野望を持つ。
この青年も今や42歳となり、昨日と今日、Salon Classicでコンサートとトークショーを開いた、きっかけはわれわれ夫婦が訪日中のThe Music Center, New Yorkのディレクターたち、故ディヴィッド・ブラッドショウとコズモ・ブオーノ氏を同君に紹介したこと、もう20年も前のことだ。ピアノを始めたのが15歳のとき、音楽高校も音楽大学も一切関係ない。
ピアノが好きで同ディレクターたちの前で弾いたところ、ジュリアード出身の巨匠が「見どころ」があると同君をニューヨークに誘った。逡巡したが、こんなチャンスは二度と来ないと一大決心、1999年ついにアメリカに渡った。英語は全然話せなかった。しかし、18年が経った今はバイリンガルの腕前、国連で英語と日本語で司会した。
この青年を見届けてきたわれわれ夫婦、本人以上にその快挙を喜んだ。同君のニューヨークにおける生活も垣間見てきた。その快挙の裏には並々ならぬ努力もあったが、持ち前の明るさと人間愛が幸運を呼び寄せた。
それに何でもみなと同じ行動を好む農耕型日本人の中にあって、独り、狩猟型を好む好奇心旺盛な男だった。二人組みの泥棒に入られて戦々恐々しながら、「話してもいいか」と言って、相手からその身の上話を聞き、ピアノを弾いてホロリとさせ、その泥棒殿を後日カーネギーホールに正式招待した話やホームレスの人間に真新しい着物を恵んで、後日、忘れた頃に立ち直った彼から改めて感謝された話とか、話は尽きなかった。
彼には一冊の本がある。「七本指のピアニスト」だ。ニューヨークの紀伊国屋書店のベストセラーになった。ピアノを弾きまくってジストニアになり、やっと今、七本指を動かせるようになった。聞くも涙の物語だった。
オバマ大統領に会ったり、ローマ法皇に会ったり、あり得ないことばかりやってきた、こんな変わった日本人、同時に、
英語を現地人並みに流暢に喋り、社会に寄付という形で恩返しするアメリカ人魂を心底から体現した悟平君に惜しみない拍手を贈りたい。

2017.06.18

室内楽の愉しみ 一音の世界

 室内楽の愉しみ 一音の世界

「風の音にぞ驚かれぬる」とでもいうのだろうか。わざとらしさのない、どこからともなく吹いてくる風、ヴァイオリンとコントラバスとピアノが渾然一体の一陣の風となって鼓膜を揺する、その優しさの中の微妙な変化に小躍りした。スーと入ってスーと抜けて行く、その自然さ、芸術の粋の粋を味わった気分になった。
今日は河村典子さん(Vn)、白土文雄さん(Kb)、久保美緒さん(Pf)のトリオによる「室内楽の愉しみ2017 一音の世界」のコンサートがSalon Classicであった。
なるほどよく考え練られた標題である。楽器を奏でるのではない、音を奏でるのだ。その意のあるところが解った気分になった。もう一つ、プログラム解説がよかった。何かから引用したらしい痕跡が一切ない。聴衆の身になってというか、音楽の専門用語を一切使うことなく、解説者独自の感性でそれぞれの曲印象を短文で非常に要領よく詩的にまとめられていた。音楽の聴き方はこれでなくては、と強く思った。
一言ずつ演奏者をご紹介すると、河村さんは1979年以来チューリッヒ在住、白土さんはジュネーブ国際音楽コンクール審査員、久保さんはチェコ、ドイツ、ロシアで勉強された。この三人が一つに磨き上げた音だった。
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