芦屋のクラシック音楽コンサートホール

兵庫県芦屋市東芦屋町3-9
TEL:0797-55-0730

イベント情報

2004年02月

2004.02.15

140. ミハイル・ヴォスクレセンスキーピアノリサイタル

 140. ミハイル・ヴォスクレセンスキーピアノリサイタル

    2004年2月15日  Salon Collina
夜来の春一番に洗われた今朝の富士山は一段と美しい。広い雲一つない青い空と紺碧の海。その真中に真白いシンメトリーの霊峰を浮き上がらせている。本日の巨匠を出迎えるため富士もわざわざ正装して現れたのだ。ミハイル・ボスクレセンスキー、現代ロシアピアニズムの巨匠。そんな巨匠がはるばるモスクワからこのサロンコリーナに到来した。私と同い年。もうそれだけで親しみを覚え、会うのを心待ちにしていた。会うなりミーシャ(ミハエルの愛称)とタカオの仲になった。
 
   ロマン派音楽の覇者。正統ロシア・ピアニズムの継承者だ。1935年ウクライナ生まれ。モスクワ音楽院卒。シューマン及ヴァン=クライバーン国際コンクール入賞。母校教授。チャイコフスキー及びリーズ国際ピアノ・コンクール審査員。ロシア人民芸術家」称号の持ち主。
  今日のサロンは十九世紀のモスクワと化し、この小さな空間まるごと日本を離れ異次元の世界に浮遊してしまった。クラシックの味とはこんな味だったのか。日本民謡を聴くとき分かるとか分からないとか、きれいとか素晴らしいとか言わない。その音色に自分に眠っていた心のふるさとが呼び覚まされてうっとりし言葉を忘れてしまう。今日はそれを味わったのだ。美醜を越えた美、土着の美、暗さを秘めた美、あえて言えば、不健康な美、もっと言えば毒の美、どう呼ぼうとそこには紛れもないスラブの地色美があった。その正調土着色。それがロシアピアニズムの真髄であると私は解釈し、その極致をヴォスクレセンスキーと定めた。音楽は風土に根差し育ちに鍛えられるものだろう。ラフマニノフやスクリャービンを輩出したモスクワ音楽院で学び、かつそこで教えるヴォスクレセンスキーだ。かれの奏でる音楽はかれの精神そのもの、音楽性とはかれそのものだった。スタインウエイピアノはサロンにあるのではなく、かれの身体、あの風貌の中にまるごとあった。かれの腕や指はかれの肉体の一部であるというより精神の一部といった方が的を得ている。
逆に言えば、かれの奏でる音はすべてかれを通じて受肉していたとも言える。
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